侍タイムスリッパー おもしろい?「カメラを止めるな!」の再来とも言われ口コミで話題 映画感想

映画感想

未来映画社の『拳銃と目玉焼』、『ごはん』に続く自主製作映画3作目。
脚本の面白さから東映京都撮影所が全面協力。
2024年8月17日に池袋シネマ・ロサで一般公開され、口コミで話題になり、9月4日にはギャガが配給に加わって全国50館以上で上映されています。

自主製作映画が口コミで話題になって、「カメラを止めるな!」の再来とも言われています。

幕末の侍が現代にタイムスリップしてくるお話、ふと目が覚めるとそこは知らない町で混乱するが、実は140年後の時代劇の撮影所。140年経っていることをすんなり受け入れて、自分になにができるのかを探す。時代劇×コメディー映画です。

10名ほどのスタッフによって制作されていて、安田監督は11役以上を一手にこなすなど、多彩な挑戦が詰まった作品です。さらに監督は米農家としての一面もあり、劇中に出てくる握り飯などのお米は監督が作ったお米となります。映画のために愛車も売却。

あらすじ

時は幕末、京都の夜。会津藩士の高坂新左衛門は、「長州藩士を討て」という命令を受けて暗闇に隠れていた。刃を交えた瞬間、雷が鳴り響く。

目を覚ますと、彼は現代の時代劇撮影所にいた。新左衛門は江戸幕府が滅んだことを知り、驚いて死を覚悟するが、優しい人々に助けられ、少しずつ元気を取り戻す。

やがて彼は「剣の腕を活かせるのはこれだけだ」と決心し、撮影所で「斬られ役」として生きることを選ぶ。

作品概要

  • 公開日: 2024年8月17日
  • 制作国:日本
  • 上映時間: 131分
  • 監督:安田淳一
  • 脚本:安田淳一
  • 配給: 未来映画社
  • キャスト
    山口馬木也
    冨家ノリマサ
    沙倉ゆうの
    峰蘭太郎
    紅萬子
    福田善晴

想像以上におもしろい

侍がタイムスリップするありきたりな設定、さほど期待せず、口コミだけで観ましたが、想像以上におもしろい。
自主映画とは思えないクオリティーでした。
監督のこの映画に対する熱意がすごく感じられました。

殺陣のこだわり、迫力がすごい

冒頭、侍同士の殺し合い、最初の殺陣シーンが始まると、おっ!っとわくわくする。
チープな印象は微塵もなくて、迫力ある演技に期待が膨らみました。
突然の雷鳴が轟き、画面は真っ白、目を開けると、ここはどこだ?と混乱。
目の前には時代劇の撮影所が広がっていてタイムスリップはそいうことかと思う。

映画全体の殺陣シーンのクオリティがすばらしくて、ここが一番予想外でした。「侍」や「時代劇」に求められる真剣な殺陣が実現されていましたね。
笑いを混ぜつつ、侍としての誇りを持った殺陣は、見応えがありました。

笑いがたくさん

140年の時を超えてしまった幕末の侍。侍です。…すんなり現状を受け入れます。
なんやかんや周囲の人と交流を重ねていきます。
食べ物や新しい機械に対する反応は、ありきたりでもクスッと笑ってしまう瞬間も多かったです。

全てを失った人間が、自分にできることを探し続ける姿には、どこかありきたりでタイムスリップという設定自体も珍しくはない。
しかも侍だということすら忘れてしまうぐらい現代の生活に溶け込みます。

侍の要素が訛りだけになるぐらい溶け込みます。

キャストがベテラン

キャストはベテランが揃っています。
特にコメディーの要素が強い中で、演技は自然体で自主映画だと思えない演技でした。
映画全体がコメディー一辺倒ではなくて、しっかりとしたストーリーが背景にあって引き込む力がありました。

カメラワーク

シーンとシーンが繋がる構成で、目まぐるしく動くわけではないため、まるで昔の時代劇を観ているかのようなゆったりとした心地よさがありましたね。

空気感が変わるラスト

中盤から話の展開が変わり、コメディーから徐々にヒューマンドラマへとシフトしていきます。
侍の成長や周囲との関係が描かれて、ストーリーへの没入感が増します。

ラストシーンでは、映画の空気感が一変して、迫力ある展開でした。
引き込まれます。映画としてしっかりとした着地でした。

自分のことを見つめ直し、成長していく姿。
10人ほどで制作されたと思えないクオリティー。
侍がタイムスリップするありきたりな設定だけど時代劇の魅力を巧みに引き出しながら、笑いと感動を織り交ぜた心温まる映画でした。

殺陣の練習シーンで師匠切りまくったのは笑えた。

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