うさぎです。
94歳のクリント・イーストウッドが監督したU-NEXTオリジナル作品、「陪審員2番」の感想記事です。
アメリカの法廷での出来事を描いています。陪審員としての役割を通じて、正義や道徳について考える場面が多くて、「これが正しいのか?」って悩まされました。
簡単には答えが出せない、自分ならどうするだろう?と考えさせられる映画です。
基本情報
- 公開日:2024年12月20日からU-NEXTで独占配信
- 上映時間:114分
- 製作国:アメリカ合衆国
- 監督:クリント・イーストウッド
- 脚本:ジョナサン・エイブラムス
あらすじ
ジャスティン・ケンプという男が陪審員として選ばれ、恋人を殺害した容疑で起訴された男の裁判に関与するところから始まります。彼は、身重の妻を持ちながら、陪審員としての責任と自身の過去の行動が交錯する中で、道徳的な葛藤に直面します。陪審員としての役割を果たす中で、彼は事件の真相に迫り、正義とは何かを問い直すことになる。
キャスト
- ニコラス・ホルト(ジャスティン・ケンプ役)
- トニ・コレット(キルブルー検事役)
- J・K・シモンズ(元刑事)
- ゾーイ・ドゥイッチ(ジャスティンの妻役)
- クリス・メッシーナ
- ガブリエル・バッソ
- キーファー・サザーランド
感想
過去と現在が交錯する
この映画、特に面白いのはジャスティンがどう行動するのか、ってところです。
ジャスティンは裁判の陪審員として参加しているんですが、事件に自分が関わっているかもしれないことに気づきます。
事件の夜、車で何かをひいてしまった記憶があって、それが被害者のケンダル・カーターだったかもしれないと思い始めるんですね。
ここでジャスティンは、自分の過去が裁判にどう影響するのかをめちゃくちゃ心配し始めます。
無実の人が罪をかぶるかもしれないって恐れを抱えて、心の中でずっと悩み続けます。で、他の陪審員たちが「有罪だ」って言ってる中で、ジャスティンだけは「いや、無罪かもしれない」と強く主張するんです。
ジャスティンは過去にお酒に頼っていたことがあって、それを乗り越えた経験が今の彼の選択にすごく影響している。だから思い込みで判断するのはよくないと。
正義感と苦しみがどんどん深くなって、ジャスティンの悩みが画面越しにめちゃくちゃ伝わってきます。
この場面、正義って何だろうって考えさせられるんですよ。
同情できるから深く刺さる
ジャスティンには、もうすぐ赤ちゃんが生まれる妻がいます。
だからジャスティンは家庭を守るために正しい選択をしなきゃってプレッシャーを感じる。
自分の過去や家族、そして裁判での役割に悩みながら、どんな選択をするべきかを必死に考えているんです。
家庭と裁判を両立させなきゃいけない。
そのプレッシャーが彼の苦しみとなって画面からビシビシ伝わってきます。
事件の日、双子をおそらく死産していて、妻にやつあたりしそうになったからバーに行っていた。
だけど酒は飲まず、帰る途中でなにかにぶつかってしまう。
悪いことが起きた時、続くものだって感じさせる。
だからこそ、彼の気持ちに共感してしまう。
自分でも簡単に答えが出ない複雑さがあって惹きこまれました。
まとめ
この映画の面白いところは、「もし自分だったらどう考えるか?」と考えさせられるところ。
自分が何かを決めなければならない時、どうするか。
決めつけないように心掛けても、なかなか答えが出なくてずっと悩んでしまうことってありますよね。でも、最終的には決断しなければならない。そんな現実に向き合わせられるんです。
情報だけで物事を思い込んでしまうことの危険性を、この映画は教えてくれます。
それって、日常でも同じですよね。判断を下すのが、いかに難しいかを感じました。
映画としては、非常に観やすい。
無駄なシーンがなくて、ストーリーがスムーズに展開していきます。
クリント・イーストウッドらしい、キャラクターの複雑な心情や、陪審員制度の問題、道徳の曖昧さ、そして「正義とは何か?」を考えさせられるテーマがしっかりと詰め込まれていました。
そして、静かなテンポで進んでいくことがまた、作品に深みを与えているんですよね。
もしかしたら、これがクリント・イーストウッドの引退作になるかもしれません。
集大成とも言える作品として、ずっと記憶に残りそうです。