「十一人の賊軍」岡田茂社長激怒の元ネタ! ネタバレあり映画感想

映画感想

この映画の脚本は、結末に対する当時の東映社長・岡田茂の激怒を招き、初稿350枚が破り捨てられるというエピソードがあり、それを知った白石和彌監督(『碁盤斬り』や『孤狼の血』の監督)が、現代的にアレンジしてメガホンを取った作品です。

物語の設定は、犯罪者を兵士に仕立て上げるという「スーサイド・スクワッド」みたいなもの。
映画は長めで、特に吊り橋のシーンが印象的でした。全体的に画面は暗く、汚れた雰囲気が漂っている印象でした。

山田孝之の野性味あふれる演技、ヘタレ役でも圧倒的な存在感

罪人11人がどんな方法で現状を打破しようとするのかが描かれており、結末は予想通り。
権力を持つ人々が「多少の犠牲は仕方ない」と言って、実際には力のない者が犠牲になっているという皮肉が物語の中で浮き彫りになります。
正義感や目的が曖昧で、結局は人々の命が権力者に翻弄されていくという構造です。

この映画の魅力の一つは、主演の山田孝之の野性味あふれる演技ですね。
とにかくヘタレ!だけど存在感がすごい。

爆発シーンの迫力と過剰すぎるグロテスク描写

爆発シーンは特に迫力があり、映画館での音響がその臨場感をさらに強調していました。ただ、爆発シーンが過剰で、グロテスクな描写も多すぎると感じる場面もありましたね。

殺陣のシーンは圧巻でした。
時代劇として、リアルな戦闘シーンが追求されていて、味方を斬ったり自分がほとんど無傷というような不自然なことはなく、実際に戦っている感じが伝わってきた。

阿部サダヲの演技力が光る、冷徹な家老・溝口の二面性

物語の中で重要なキャラクターが「溝口」という家老。
藩を守るために冷徹な判断を下すが、罪人たちには嘘をつき、民を犠牲にする。しかし彼には家族を思う一面もあり、父親としての顔を見せるシーンもある。
その多面性を見事に演じたのが阿部サダヲで、怖さと同時にコミカルな一面もあり、役柄に深みを与えていた。

新発田藩の藩主は若く、戦いたくないという立場を取っているため、家老の溝口がその役割を担う。
溝口は冷酷で、他人を使い捨てにする政治家だが、最終的には裏切りによって藩を戦火から救うことになる。
このあたりは政治的な皮肉が効いていて、ラストには藩の民が彼に感謝するという展開になります。

物語は中盤から急激に引き込まれる。
絶望的な状況で、登場人物たちがどう立ち回るかが見どころ。
しかし、脚本が少し冗長で、同じ内容が繰り返される場面があり、テンポが悪く感じることもありました。

俳優陣は全体的に素晴らしかったです。
ただ…芸人の出演がやや目立ちすぎてしまった点が気になった。
特にナダルのシーンは必要以上にアップで映されていて、もっと別の俳優に焦点を当ててほしかった。

登場する罪人たちには、それぞれ事情があって、キャラ立ちしてるのもよかった。
妻を襲った侍を殺した政(山田孝之)や、ロシアに密航しようとした医者志望のおろしや(岡山天音)、檀家の奥さんと密通した坊さん(千原せいじ)など、悪いことをしているけど同情する部分もよかった。

ラストの「罪人は10人、兵士郎が11人目」という構図は胸がアツかった。

まとめ

「11人の罪人 vs. 権力者」という壮絶な時代劇映画でした。

爆発とグロテスクなシーンは満載で、時々映画館が「爆破大会」と化している気も…。それでも、山田孝之の演技や阿部サダヲの二面性が光り、政治的皮肉も効いていて、最後はまさかの「藩民が感謝」という展開はまさかとも思ったけど、そんなもんかとも思った。

芸人の出演はちょっと多すぎ?ナダルさんのアップは本当に必要だったんでしょうか…?

コメント

タイトルとURLをコピーしました