『遊星からの物体X』正体は?

映画感想

1982年に公開されたSFホラー映画。南極の観測基地で展開されるクリーチャーと人間のサスペンスを描いた傑作
ジョン・W・キャンベルの短編小説「Who Goes There?」が原作

あらすじ

南極の観測基地で、地球外生命体が発見される。ノルウェー観測隊が追っていたハスキー犬がアメリカ人隊員によって収容され、その夜、犬はグロテスクな生物に変形する。周りの犬を同化し始めるこの怪物は、隊員たちによって火炎放射器で撃退されが、その後も謎の異星生物に一人一人同化されていく

作品情報

監督:ジョン・カーペンター
脚本:ビル・ランカスター
キャスト
カート・ラッセル – 主人公のヘリコプターパイロット、R.J. マクレディ役。
ウィルフォード・ブリムリー – ドクター・ブレア役。基地の科学者
キース・デヴィッド – チャイルズ役。基地のメカニック
ドナルド・モファット – ゲイリー役。基地の指導者
本編:109分

感想

個人的に最大の見どころは、特撮技術によって表現されるクリーチャーの造形。
気持ち悪くてリアル、CGでは表現できない独特の雰囲気があって見ごたえあり

孤立した舞台で同化の恐怖と疑心暗鬼が人間を襲い、緊迫感がありました。
ちなみに登場する地球外生命体(The Thing)は接触した生物に同化する能力を持っていて。この「同化」によって、隊員たちが次々と敵に変わっていく様子が描かれています。
閉鎖的な空間で、誰かが人間以外の生物に乗っ取られているというシチュエーションが、登場人物たちを疑心暗鬼にさせて、ストーリー展開に引き込まれました。

古い映画ですが、火炎放射や爆弾が多用されていて派手な演出も好きでした。

この映画に登場するクリーチャーは、特定の姿がなく、シーンの状況によって変態する姿が変わります。映画に登場する6種類のシングすべてのデザインが異なります。このクリーチャーは、普通の犬の状態から、顔面の皮が剥がれて触手が生える第一形態から、全身の毛が抜けてクリーチャーの頭部が生える第三形態、そして背中から巨大な2本の腕が生える第四形態まで、さまざまな変態を遂げます。特に、地球物理学者のノリスが変態するシーンは印象的です。

形態

第一形態:普通の犬のような姿から、顔面の皮が剥がれて触手が生える変態。

第二形態:特定のシーンで見られるものではないため、詳細は不明です。

第三形態:全身の毛が抜け、クリーチャーの頭部が生える変態。

第四形態:背中から巨大な2本の腕が生える変態。

スプリット・フェイス:ノルウェー基地で発見される変態途中の焼死体で、2つの顔が融合しかかっています。手足は昆虫の脚のように変形しています。

特殊効果担当のロブ・ボッティンが制作し、額の弾痕のメイクには本物の鹿の皮や肝臓が使用されていて、解剖シーンでは、個体の臓器にも本物の材料が使われていたそうです。

ノリス・シング

地球物理学者のノリス(チャールズ・ハラハン)が変異したクリーチャーで、映画のなかで中でも最も見応えのあるシング。

ノリスの第1段階は、心肺停止状態になった彼が胸が縦にばっくり開き、牙の生えた巨大な口になって、他のキャラクターの両腕を喰いちぎるシーンです。

第2形態では、ノリスの裂けた腹から長細い触手が蠢き、腹の中から飛び出した怪物が天井に向かって伸びています。

ノリスの変態が一番衝撃的でした。

ベニングス・シング:

気象学者のベニングス(ピーター・マローニー)が変異したクリーチャーです。このシングは、両腕だけが変態を遂げた姿で描かれています。

映画の特殊効果は、当時の技術を駆使して作られました。特に、クリーチャーの変形シーンは、アニマトロニクスやストップモーションアニメーションを駆使して実現されました。

撮影はカナダのブリティッシュコロンビア州で行われましたが、寒さと厳しい環境がキャストとスタッフに大きなストレスを与えたそうで、特に夜間の屋外シーンは過酷だったそうです。

クリーチャー・ホラーと心理サスペンスが絶妙にブレンドされた作品で、SFファンやホラー好きにおすすめです。

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