「THE SIN 罪」続編ある? 映画感想

映画感想

「THE SIN 罪」は、2024年に韓国で製作されたホラー映画です。
世界三大ファンタスティック映画祭のひとつであるブリュッセル国際ファンタスティック映画祭のコンペティション部門に選出され、その他にもシッチェス・カタロニア国際映画祭などに出品されました。韓国公開時には初週第10位のスマッシュヒットを記録しています。

作品概要

  • 公開日: 2024年11月29日
  • 制作国: 韓国
  • 上映時間: 103分
  • ジャンル: ホラー
  • 監督:ハン・ドンソク
  • キャスト:
  • キム・ユネ(『ヴィンチェンツォ』)
  • ソン・イジェ(『キム秘書はいったい、なぜ?』)
  • パク・ジフン(『ジェントルマン』)
  • イ・サンア(『ヨコヅナ・マドンナ』)

あらすじ

新人女優のシヨンは、映画撮影のために山奥の廃墟へと赴きます。しかし、変わり者と評判の監督からは演技指導がなく、屋上で奇怪なダンスを踊らされるだけで、不安を感じるシヨンは共演者に愚痴をこぼします。低予算で組まれた現場は殺伐としており、トラブルが続出する中、突如血まみれの女性スタッフが現れ、屋上から飛び降りてしまいます。即死したかに見えた彼女は立ち上がり、他のスタッフに襲いかかるという、生ける屍のような恐怖が広がっていきます。

感想(ネタバレあり)

予想外のエクソシズム—ゾンビ映画かと思ったら…

キャラクター

本作における主人公シヨンは、序盤ではただの映画撮影の一員として描かれ、いわば普通の女性として登場します。しかし、ストーリーが進行するにつれて、逃走劇が始まり、その過酷なサバイバル状況において彼女の本性が試されることに。しかし、シヨンは特別冷静さを持つわけでもなく、目立った成長を見せるわけでもないため、キャラクターとしての魅力はやや薄く、強烈な印象を与えることはありません。むしろ、最終的に明かされる“実は悪魔だった”という衝撃的な展開が、最初から普通の人間ではなかったというオチに繋がり、少し拍子抜けする感も否めません。
このオチにカタルシスを感じられるかどうかは、個々の受け取り方次第ですが、筆者としては少々微妙に感じられました。

さらに、祈祷師を演じる女優仲間のキャラクターもまた注目すべきポイントです。
序盤ではシヨンの味方として登場し、信頼関係を築くように見えますが、物語が進むにつれてその立場が逆転して、最終的には敵対的な立場に転じます。しかし、その転換があまりにも唐突で、最初から計画の一部として行動しており、動機はくわしく描かれないため、彼女の行動に対する説得力に欠けているように感じました。

ストーリー展開や伏線回収

本作の最大の魅力は、その巧妙なジャンルシフトにあります。
序盤は典型的な「ゾンビもの」としてスタートし、その手の緊張感漂う展開に引き込む一方、後半になると突如として「エクソシズム&超能力復讐劇」へと移行します。
この大胆な転換は、物語における最大のミスリードとして機能し、最初はゾンビ的な襲撃から始まり、撮影の仕込みだと思わせた後、実は本当に超常現象が起きていることが判明するという流れに、意外性を感じさせます。しかしながら、ゾンビパート自体にそれほどの緊張感が欠けているため、途中で「本当にゾンビ映画なのか?」という疑念を抱いてしまう瞬間が多々あり、結果的に構成が散漫な印象を与えてしまいます。

そして、終盤に待ち受けるどんでん返し――「シヨンが死んだのではなく、実は祈禱師が死んでいた」という驚愕の展開。しかし、その過程が少々雑に感じられ、せっかくのサプライズがあまり爽快感を伴わないまま迎えられます。特に、祈祷師のキャラクターが弱く、あっさりと退場してしまうのは、予想外に拍子抜けする瞬間でした。また、ゾンビと見せかけておきながら、最終的にシヨンの超能力で決着がつくという展開は、もはやホラー映画というよりもファンタジー寄りの要素が強く、ジャンルのブレを感じさせます。このような予測不可能な展開が一部では新鮮に映るものの、全体的に見ると一貫性に欠ける印象も否めません。

演出

本作におけるホラー映画としての演出には、なかなかの工夫が感じられます。特に印象的なのは、屋上から飛び降りたスタッフが普通に起き上がり、そのまま襲いかかるシーン。ここでの「ゾンビっぽさ」は十分に引き出され、視覚的にもしっかりとホラーの要素を感じさせます。しかし、その後のアクションや逃走劇は少々単調になり、視覚的なインパクトが続かない点が惜しい。サスペンスを引き延ばす演出にはもう一ひねり欲しかったところです。

また、ガソリンスタンドで睡眠薬を飲まされ、目を覚ますと再び廃墟のステージにいるという流れは、まさに悪夢のような不気味さを演出していて、不安感を抱かせます。このシーンは、物語全体に不穏な雰囲気をもたらし、ホラー映画としてはなかなかに効果的です。しかし、韓国ホラー映画特有の「急に超能力が発動する」という展開には、やや慣れが見え始めてしまい、恐怖というよりも「またか…」という印象が強くなってしまうのが難点です。特に超能力が絡む展開が進むにつれ、物語の本来のホラー要素が後退し、むしろファンタジー的な要素が前面に出てきてしまうため、恐怖感が薄れてしまうのが残念でした。

テーマ性やメッセージ性

「罪を犯した者は罰を受けるべきだ」というセリフが、この作品の核心を象徴しており、最終的には復讐の物語へと収束します。主人公シヨンは過去に人命を奪ったことが明かされますが、その背景や動機が深く掘り下げられることはなく、「彼女が本当に復讐されるべき存在だったのか?」という疑問が残ります。
この曖昧な部分が、物語の感情的な引っかかりを作り出し、最終的には少々消化不良な印象を与えます。

さらに、本作の大きな特徴である「ゾンビ映画だと思わせておいて、実はエクソシズム映画でした!」というジャンルのすり替えは確かに意外性を持ってはいますが、その転換がやや唐突に感じられ、全体としてまとまりが欠ける印象を受けます。
序盤のゾンビ的要素と後半の超常現象が絡み合う展開は、十分に興味深いものの、ジャンルが混在しすぎていて、物語としての一貫性が薄れてしまうのが残念です。

また、韓国映画らしい“超能力者”の要素が物語の後半に強く押し出されますが、これが作品全体のテーマやメッセージにどのように繋がっているのかが明確でなく、少々消化不良な部分が残ります。
超能力という要素が果たして復讐劇の必然的な展開だったのか、それとも物語を引き伸ばすための無理矢理な演出だったのか、疑問が残るところです。

続編の可能性と伏線

物語が終盤に差し掛かると、続編を示唆する要素が散りばめられており、その展開が新たな期待感を抱かせます。物語の全貌が明らかになるのが終盤であるため、続編を期待させるエンディングになっているのでこれは確かに引き込む巧妙な仕掛けとも言えるでしょう。

特に注目すべきは、監督のハン・ドンソクが続編の構想を持っていることを示唆するコメントを発していること。このことからも、続編に対する期待が高まる一方、物語の構成やキャラクターの深掘りが今後の展開で行われる可能性があるため、次作への関心が一層強くなります。

また、劇中で明確に語られなかった重要な要素として、祈祷師の母や神父に関する謎が残されています。
彼らの背景や役割が今後の物語にどのような影響を与えるのか、これも続編で深く掘り下げられるのかが非常に気になるポイントです。

まとめ

本作は、一見ゾンビ映画としてスタートし、途中からエクソシズムと超能力バトルが繰り広げられるというジャンルミックス作品。
予想外の展開が次々と登場するものの、そのシフトが効果的に機能しているかというと、やや微妙なところ。
ゾンビホラーを期待して観ると、肩透かしを食らうこと必至で、超能力復讐劇としてもカタルシスが感じられるほどのインパクトには欠けます。
特に、韓国映画特有の「実は超能力持ちでした!」という展開が好きな人には、一定の楽しみがあるかもしれませんが、それでも全体の緊張感や一貫性には欠ける印象が強いです。

また、続編への布石がいくつか散りばめられており、もし次回作が制作されるのであれば、伏線回収とキャラクターの深掘りに期待がかかります。しかし、現時点ではジャンルのブレが大きく、物語のまとまりに欠ける部分が目立つため、全体としては少々散漫な印象が残ります。
次作でこれらの要素がどう昇華されるかが、今後の見どころとなりそうです。

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