うさぎです。
2017年、ジョーダン・ピール監督・脚本のアメリカのホラー映画「ゲット・アウト」。
アフリカ系アメリカ人の写真家クリスが、白人の恋人ローズと一緒に彼女の実家を訪れるところから始まります。
最初は温かく迎えられますが、次第に何かが違うと感じ始める。
家の中には黒人の使用人たちがいて、彼らの振る舞いにどこか不穏な気配を感じるクリス。
事態は予想以上に恐ろしい方向へと展開していきます。
「ゲット・アウト」は、アメリカ社会に根強く残る人種差別という深刻なテーマを、ホラーというジャンルで描きながら鋭い社会的メッセージを投げかける作品です。
公開当初からその独創性が評価され、全米で1億ドル以上の興行収入を記録。さらに、アカデミー賞脚本賞を受賞するなど、批評家からも絶賛されました。
この映画は、さまざまな他の名作映画へのオマージュが織り交ぜられており、今回はその中でも特に注目すべきオマージュ作品をご紹介します。
作品概要
- 公開年: 2017年
- 上映時間: 104分
- ジャンル: ホラー、サスペンス、ミステリー
- 製作国: アメリカ
- 監督・脚本: ジョーダン・ピール
- 出演: ダニエル・カルーヤ(クリス)、アリソン・ウィリアムズ(ローズ)、ブラッドリー・ウィットフォード(ローズの父)、キャサリン・キーナー(ローズの母)
オマージュ作品
「シャイニング」
映画の最初で、ローズとクリスが彼女の家に向かうシーンがあります。
家族がすごく親切に迎えてくれますが、どこか変な感じがする。
ローズのお父さんが冗談で「黒人の友達が多い」と言うシーンが不自然で、ちょっと怖い雰囲気を作ります。
これは、「シャイニング」のジャックがだんだん孤立していく感じと似ていて、心の中に潜む不安が高まっていく様子がよく似ています。
また、催眠術を使うシーンも「シャイニング」のように心に入り込む感じがあり、怖さを増していた。
「ステップフォード・ワイフ」
「ステップフォード・ワイフ」という映画の影響もあります。
この映画では、表面は完璧に見える家族や社会が実は恐ろしい真実を隠しているという話です。
「ゲット・アウト」では、クリスがローズの家で感じる違和感がそれに似ています。
家の中で働く黒人のメイドや使用人たちが、無表情でまるで何かに支配されているように見える。
この不自然な感じが、次第に恐怖へと繋がっていくのです。
「ジョーズ」
「ジョーズ」からも影響を受けています。
「ジョーズ」では、海に潜む恐怖が見えない形で怖がらせますが、「ゲット・アウト」でも同じように、最初は家族の変な態度や周囲の異常さが何か分かりません。
その不安な雰囲気が、だんだん恐ろしいものへと変わっていきます。
クリスが家に入ると、緊張感や孤立感が強くなり、まるで「ジョーズ」のように恐怖が迫ってきます。
「羊たちの沈黙」
「羊たちの沈黙」の影響も感じられます。
この映画では、登場人物同士の心理的な戦いが重要です。
「ゲット・アウト」でも、クリスが家族の恐ろしい計画に気づく過程で、心理的な緊張が強くなります。
ローズの母親が催眠術を使ってクリスをコントロールしようとするシーンが特に似ています。
これは、「羊たちの沈黙」でクラリスとハンニバル・レクターが行う心理戦に似ています。
「ヘルプ」
「ヘルプ」という映画も、「ゲット・アウト」のテーマに影響を与えています。
「ヘルプ」は人種差別をテーマにしていて、「ゲット・アウト」でも同じように、クリスの恐怖感が人種差別から来ていることが描かれています。
ローズの母親が催眠術を使うシーンでは、クリスの人種的な立場が恐怖をさらに強くします。
映画は、社会の差別が個人にどんな影響を与えるかを描いており、これが「ヘルプ」と似ている点です。
映画の注目ポイント
人種差別の描写
クリスがローズの家に訪れると、最初は家族がとても親切に迎えてくれる。
しかし、何気ない言葉や行動に差別を感じる場面があります。
たとえばローズのお父さんが「黒人の友達が多いんだ」と言うシーンです。
この言葉は、親しみを込めて言っているように見えますが、実は少し差別的に感じます。
また、クリスが庭に出ると、白人たちが「君は黒人だよね?」と無意識に聞く場面もあります。
このような言葉や行動は、表面では優しそうでも、実は差別的な意識が隠れている。
不気味なキャラクターの演出
クリスが家で出会う使用人たち、特にメイドのジョージナが不気味です。
ジョージナがクリスに対してとても親切にするのですが、笑顔がどこか不自然で、何か怖い感じがする。
普通の人とは少し違う雰囲気を感じさせるんです。
また、夜中に突然家の前を全力で走る黒人男性のシーンも不気味な場面です。
彼が走る姿は不気味で、何かおかしなことが起こっているのだと感じさせます。
予測不可能な展開
映画は、予想できないような展開が続きます。
特に驚くのは、ローズが実は家族と一緒にクリスを犠牲にする計画に加わっていたことが分かるシーンです。
このことが分かると、クリスはもっと恐ろしい状況に直面することになります。
また、クリスが必死に家から逃げようとするシーンも予想外で、ただのホラー映画の脱出劇に見えますが、実はそれがローズの家族から逃れるための大きな戦いだと分かります。
ネタバレ感想
クライマックスよりも途中のシーンが怖く感じることがあったりするけど、この映画もその一つです。
ラストの展開は予想外で驚きましたが、怖さはむしろ途中で感じます。
特に不気味だったのは、黒人の女使用人のジョージナ、クリスが作中で「イカれてる」と言っていた通り、あの存在感が本当に怖かった。
夜、家の中から彼女が外のクリスを見ているシーンがありますが、その直後、窓に映る自分を見ていただけで緊張感がほぐれるんですが、何とも言えない恐怖感や不気味さが漂っていましたね。
それから笑顔と涙を同時に見せる場面、その時点では映画のからくりがわからないので、ただただ理解ができなくて不気味さが強烈だった。

ミア・ゴスが主演した「パール」でも似たようなシーンがありましたが、こっちの方がもっと不気味に感じました。
黒人が道具として使われる描写に関しては、自分でも対象は別だけど、ときに見た目や言動で人を判断してしまうことがある…
そういう点でも、映画は考えさせられる部分が多かったです。
なによりも驚くのは、人格を別の人間に移して生活するという設定で、まさかそんな展開があるとは予想していませんでした。
映画の面白さは、伏線が巧妙に散りばめられていて、もう一度観たくなるところ。
コメント