うさぎです。
毒娘の感想記事です。
承認欲求が人に与える影響って思った以上に深刻ですよね。
自分を理解してくれない人を敵視してしまうこともあるけど、気づくのは「自分を殺しては幸せになれない」ということ。
理想を追いすぎると、本当の自分を見失ってしまう危険があること。
他人の本質を見抜くのは難しいし、表面だけで判断してしまうと誤解を生む。
SNSでどう自分を出し、どう他人と接していくか、改めて考えるべきだと思わせる映画でした。
基本情報
- 公開日: 2024年4月5日
- 上映時間: 105分
- レーティング: R-15
- ジャンル: ホラー、スリラー
キャスト
- 監督: 内藤瑛亮
- 主演: 佐津川愛美(萩乃役)
- キャスト: 植原星空(萌花役)、伊礼姫奈(ちーちゃん)、馬渕英里何、凛美、内田慈、クノ真季子、竹財輝之助
あらすじ
萩乃が夫と娘・萌花と共に中古の一軒家に引っ越すところから始まります。
彼女にとって、この新しい生活は夢に見た幸せな家庭を築く機会でした。しかし、ある日外出中に萌花から助けを求める電話がかかり、急いで帰宅した萩乃が目にしたのは荒れ果てた家と見知らぬ少女「ちーちゃん」の姿でした。
ちーちゃんはかつてこの家に住んでいた少女であり、その存在が家族の隠された「毒」を暴き出し、悪夢のような日々が始まります
元ネタ
2011年にインターネット掲示板で話題となった新婚家族の実際の事件をモチーフにしています。
原作
オリジナル脚本。
押見修造さんによる漫画「ちーちゃん」が前日譚としてあります。
漫画ではちーちゃんの過去や家族背景に焦点が当てられており、彼女がどのようにして「毒娘」となったのかが詳しく描かれています。
ロケ地
現時点で具体的に明示されていません。
感想
承認欲求がおかしくさせる
実際に観てみて思ったこと、この家族バラバラだよねってこと。
それぞれが違う方向に向かって生きている感じがして、そりゃ生きづらいよなって思う。
家族なのに、どこかでお互いに理解し合えなくて、ぶつかる部分が多いのが現実なんだろうなって。
ただ、家族に対して無関心って部分は、ちょっとわかる気がするんですよね。
だって、家族って「いて当たり前」って思ってしまうし、味方でいるのが当たり前だって考えてしまう。
だからこそ、自分の理想を押し付けたくなるのも無理はない。
でも、それって結局、うまくいかないんですよね。
ここに関しては、やっぱり自分も改めて考え直す部分があったと思う。
普段、あまり考えないからこそ、そういう気づきがありました。
この映画のテーマは現代社会の女性の立場とモラハラ夫についてだと思うんですけど、
やっぱり固定概念が影響している部分があると思う。
でも、自由でいることって大事で、自然体でいられる環境、対等でいられる環境で生活できることが一番だって思う。
どんな環境でも、思い込みすぎてしまうと、それが一番苦しい。
自分が壊れてしまったら、元も子もない。
だから、自分の心を守りながら、バランスを取って生きることが大事だなって感じました。
父親が毒。
この映画を観て、一番印象に残ったのは父親だった。
おそらく、この父親も何かしらの影響を受けて、今の自分があるのだろうなと思う。
SNSに投稿している時点で、もう現代病にかかっていると言っても過言じゃない。
SNS投稿が気持ち悪い。
「理想的だと思われたい」という欲求を持っているからだろうと思うけど、妻や子供にはあまり興味がなく、どこか自己中心的で、承認欲求に駆られている感じがする。
意外と冷静なのも逆に気持ち悪さを増している。
やばい男。
否定しないと優しさを見せることができるけれど、否定されると、それを敵として認識する。
実際、家の中でそれが起こったら、かなりやばいことになるんだろうな。
ズレているというか、理想があって、それ自体はズレていないんだけれど、それを拒否されると敵対的になってしまう。そして身内に対してこそ、その傾向が強くなる。
他人には興味がないように見えても、実際には自分の理想に沿う人たちには、強い支配欲があるわけではないけれど、何かしら強く執着しているように感じる。
理想に固執するあまり、それが歪んでしまうんだろう。まるでSNSのように。
SNSが悪循環を生んでる。
SNSは、自分の発信をする一方で、その使い方を間違えると、知らず知らずのうちに自分が壊れていく原因になってしまう。
もちろん、SNSだけが問題だとは思わない。
でも、もし父親がSNSに影響を受けているなら、何かを見たり、他人の幸せを真似しようとしたりしているのだと思う。
SNS時代に生きる中で、承認欲求がさらに承認欲求を生んでいるという、悪循環に陥っている。
結局、人には無関心でありながらも、理想はしっかりと持っていて、その理想が強すぎるからこそ、自己肯定感が強くなりすぎて、周りの反応を求めるようになってしまう。
ちーちゃん
何者なのか、何がしたいのかわからない
ちーちゃんの背景については、まったく描かれない。
前日譚のマンガを読まないと、彼女が何でそんな行動をしているのか、動機が全くわかりません。
それだけに、映画の中ではちーちゃんが何をどうしているのか、って部分が謎だらけ。
正直、もっと狂った描写を期待してた。
アクティブに演技するわけでもないし、セリフもほとんどない。
顔も髪で隠れてるから、どうしても感情が伝わりづらい。
キャラクターの説明もない。
でも、不気味な感じはしっかりと伝わってきた。
ちーちゃんが過去にこの家で起こした事件のせいで町を去ったことはわかるけど、その後も家に執着し続ける理由が、映画だけではよくわからない。
それがちょっと残念でした。
ちーちゃんの行動自体は、家庭内で無視されてきた問題や、隠されていた感情を引き出すことで、家族間の葛藤を浮き彫りにしてる部分は確かにあったけど、それがどこから来てるのか、掘り下げられていないのは少しもったいないかな。
ちーちゃんは味方にはすごく優しいんだけど、敵には全く容赦しない。
これって、ある意味、モラハラ夫と一緒なんじゃないかと思うんですが…
根底にあるものが承認欲求だとしたら、父親とちーちゃんはどこか似ているのかもしれない。
自分の理想を追い求めて、他人を支配しようとするところに共通点があるように感じた。
萌花
若いがゆえに悩んでる
学校には行かなかったり、右手に火傷をして、それを隠していたり、その火傷が抱えてる痛みを象徴しているような気がした。
継母とも、うまくいってなくて、家の中でも居場所がない。
実の母親が父親に何をされたか、ちゃんと知っている。
そんな過去を知っているからこそ、親の言うことが絶対だっていう考え方に疑問を感じている。
自分にとって何が正しいのか、どうしたらいいのかって、迷ってる部分が印象的でした。
そんな中で、萌花はちーちゃんに惹かれていく。
ちーちゃんのやりたいようにやっている自由な姿が、彼女にとっては魅力的だったんだろう。
誰かにこうしてみろ、ああしてみろと言われることが苦しく感じているのかもしれない。
自分の意志で動くちーちゃんに、少しでも自分の自由を見つけたかったんだと思う。
「人の形成はどんな友達と関わるかで大きく左右される」って言葉を聞いたことがあるけれど、まさにそんな感じ。
ちーちゃんと関わることで、萌花も次第に自分の考え方が変わってきて、どうしたらいいのか見えなくなってしまう。周りに流されて、「これでいいんだ」って思ってしまう瞬間がある。
でも、怖くなっても、ちーちゃんの味方をしていた。
彼女がどんなことをしても、萌花は支えてあげたいって思ったんだろう。
でも、最後にはやりすぎだと思って、ちーちゃんを拒否する。
その中で、自分の中の線引きが少しずつ見えてきて、結局、萌花も自分を大事にしようとしたところに成長を感じた。
萩乃
彼女はまさに「狭間にいる」って感じでしたね。
家族を思う気持ちと、自分に素直になれない気持ちがぶつかり合っていて、家族のために何かしなきゃいけないって思ってる一方で、自分が本当にやりたいこと、心の中で望んでいることができない。
そのギャップに悩んでいるように見えた。
自分の思っていることを、実際には行動に移せない。
何かが足りない、何かが邪魔しているような気がしていて、手を出されて、初めて気づく。
「これは違う」って。
理想と現実は全然違うんだって、痛いほど感じる瞬間が印象的だった。
「だから、自由に生きよう」って。
もう、誰かの期待に応えたり、現実に縛られたりするのはやめて、自分の思い通りに生きるべきだって。自由に、自分らしく生きることが一番大切だって、ようやく気づいたところに変化を感じました。
まとめ
スリラーとしてはちょっと物足りなかった。
グロテスクなシーンはないし、全体的に怖さも感じない。
理想に執着する父親には正直、全く共感できなかったんだけど、それでも家族との接し方については、ちょっと思い直させられる部分がありました。
自分の理想や考えを押し付けすぎてはいけないっていうのは、見ていて反省させられるところがありましたね。